CAPとは、Child Assault Preventionの頭文字をとったもので、子どもがいじめ・誘拐・性暴力・虐待・体罰・痴漢などさまざまな暴力から自分の心とからだを守ることを目的とする、おとなと子どもへの暴力防止のための予防プログラムです。CAPセンター・JAPANは、CAPスペシャリスト(実践者)の養成や資格更新等のトレーニング、CAPグループの支援、さらに子どものサポーターを増やすための講座や社会啓発の講演会、専門研修等を各地で行っています。
さて、私たちがPanasonic NPOサポートファンドの助成を受け、団体の組織基盤強化に取り組んだ背景ですが、2009年に大きな組織改編があり会員数が半分に減少する中、財政の不安定さの打開が必要と感じたからです。
まず初めに組織診断から取りかかり、理事・事務局が共通認識を元に総力をあげて取り組みました。それまで自分たちだけでは見つけられなかった本当の課題を外部の方の力、コンサルタントの力を借りて自ら気づくことができました。このプロセスの中で、今までの活動の再評価を行い、めざす社会に向けて次に何を行うべきかを見出す作業も実施しました。
あれもできていない、これもできていないと思ってきましたが、“できていること”“やってきたこと”が沢山あったことを外部の方から教えて頂き、組織基盤強化のモチベーションは高まり、意欲的に取り組むことができました。これによって、自分たちの活動を振り返ることから始め、自己肯定感を持ちながら組織全体として新しい一歩を踏み出すことができました。
組織基盤に欠けていた中長期目標・計画の策定、社会発信力の強化、地域のCAP活動の拠点強化といった3つのパズルを埋め込み、目指す未来に向けて、持続可能な組織の姿を探る作業を外部の方も交えたネクストステージ委員会で始めました。
次に組織基盤強化の目標も具体性あるものにし、組織で共有しました。
<組織基盤強化の目標>
①課題解決・目標達成を行うための体制作り
⇒持続可能な活動のリスタートを切る。
②社会との接点を広げるという視点を常に意識し、多くの市民から共感を呼べるよう社会発信力をアップさせる。
⇒団体ミッションの達成に向けたムーブメントを起こす。
③団体内でCAPプログラムの実施においての目標を定め、それを元に地域が戦略をもって活動を行う。
⇒長期的視野に立った予防教育の普及・推進を行う。
その結果、2012年度からの運動のキャッチフレーズは次のようになりました。
「すべては子どもの“安心・自信・自由”に!!・・・組織基盤強化に根拠と海図を手に覚悟を持って取り組みます。」
この組織基盤強化助成金によって、これまでどこを通って、どこを向かっていくのか意識せず、具体的な目標を持たずに進んできた組織が、
①中期目標を立てて
②めざす社会を明確にし
③目標に向かう道筋を考えていく
その取り組みがスタートしました。これは組織にとって大きな変革で、毎年の事業計画案づくりに活かす、中期目標、中期計画に基づき、単年度事業を考えるようになりました。
【苦労したこと(していること)】
*会員と課題・目的・目標・意識・情報を共有し、モチベーションを維持し、関心をもってもらいながら、協働する難しさ。
*「繋がりを深める」関係の構築とどう面を広げていくのか。
・「顔を知っている」関係⇒「何をしているかを知る」関係⇒「つながって一緒に行動する」関係へ
*社会の動き、ニーズから課題を抽出し、新規事業を生み出すこと。
*助けてもらい下手
【以外な発見】
*夢を語ることが、その夢を実現していく1歩。
*新しいことにチャレンジしてみようとする意欲の高まり。
≪クラウドファンデイング・ソーシャルプラットフォームgooddo・寄付サイトGiveOne≫
*寄付金の大幅アップ:2011年544,150円⇒2015年2,295,265円
*社会の出来事への情報発信の迅速化
*常に「外からどう見えるか」という視点を持って考えることが習慣化した。(どう共感を呼ぶのか)
*今まで自分たちと関わってきた人をカテゴライズしたり、関わってこなかった人たちとどう関わるのかを分析し、戦略的な広報を行うようになった。
*外の人とのつながる機会を増やす中で、新しい事業の展開があった。
*目的・目標を明確にしてから、TO DOを考えることが習慣化した。
*事業等の振り返りを行い、次への改善を行うことが習慣化した。