コラム

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ソーシャルビジネス事例~NPO法人ハートフレンド

地域と連携して、子どもたちがいきいきと生きる力を育むソーシャルビジネスを大阪で展開するNPO法人ハートフレンド代表理事・事務局長の徳谷章子さんにお話を伺いました。

事業を立ち上げられたきっかけ、フォーカスした社会課題

ハートフレンドは、2003年12月に15人の母親ばかりのメンバーで立ち上げ、活動をスタートさせました。それまで私たちは全員、大阪市東住吉区桑津連合振興町会のそれぞれの町会の子ども会活動を主に行っていました。私も2003年は子ども会会長をして12年目という年でした。子ども会こそ、子どもの生きる力を育む場所と信じていましたし、今も信じています。

私が子ども会の会長をして10年目、一息をついて振り返りました。子ども会は子どもが小学校を卒業すると、離ればなれになりなってしまい、同時に親もバラバラになってしまう。それを10年繰り返してきたかと思うと、何かとても空しい気持ちになりました。10年やってきても、子ども会は何か“根っこ”みたいなものが残りませんでした。子どもたちは、みんな巣立っていきますが、どこかに戻ってこられる場所がない。そんな場所があってもいいのではないかと考えていました。

そう思っていた年に“ゆとり教育”の時代に入り、大阪市の小学校は第1と第3土曜日が休日になりました。そこで、子ども会ではその休日に桑津小学校の体育館を借りて“群れて遊ぼう”を合言葉に様々な遊びイベントを企画しました。ときには、お金がないので“じゃんけん大会”を3時間したこともありました。これを続けていった結果、桑津小学校の全校生徒約700名のうち130名が集まるまでの規模になっていました。

事業を立ち上げられたきっかけ、フォーカスした社会課題

また次のステップとして、それまで月2回の遊びイベントを実施していたのを“定時定点活動”というものに変えました。決まった時間に、決まった仲間と、決まった場所で活動するというものです。そして1年経つと、子どもたちが変わっていくのが解りました。以前の子ども会活動や、餅つき等のイベントでは見えなかった子どもたちの顔が見えるようになりました。例えば、A君は元気やなあと思っていたけど、実はこんな事に困っているとか、Bさんはここが欠点と思っていたけど、実はすごくいいところがたくさんあるなど、大きな発見がたくさんありました。


子どもが集団で群れて遊ぶと、子どもの力で、子ども自身が持つ力を上げていけるということもわかり、みんなでそれを続けていける拠点があればいいなと思っていました。


そんな時に桑津小学校の前に建ったのが、2001年から1年間だけ使うという仮設の消防署でした。そこを閉所後に、子どもが主人公になる居場所=“子どもたちの遊びの基地“と親どうしが子育てを支え合える場として借りられるよう嘆願書を書き、その念願がかない、2003年「桑津子どもの家 ハートフレンド」として開所しました。


これが、“すべての子どもたちの居場所づくり”と“親子のための居場所づくり”のハートフレンドのスタートとなりました。

(仮設消防所跡の拠点利用は2013年3月まで、以降は新拠点へ移転)

団体のミッション、具体的な事業内容

「子どもが主人公になる居場所づくり~人と人がつながる町づくりを目指して~地域は家族」・・・これがハートフレンドのミッションです。

私たちが子ども会活動しているときは、子どもにだけ関わっていたらいいと思っていましたが、それは大きな間違いであって、子どもが元気になる居場所を作るというのは、地域の色んな世代の人がつながる町づくりを目指していかないと出来ないということが分かりました。また、子どもの居場所づくりができれば、大人たちもつながれるし、地域全体が家族のようになれば、住みよい街になると考えています。

団体のミッション、具体的な事業内容

ハートフレンドの具体的な事業の柱は大きく5つあり、その下に各事業があります。

1)子どもの生きる力を育む事業
1.てらこや事業(こどものてらこや)
・計算・漢字・音読等、基礎学習の向上のための学びの場
2.あそびスクール
・学校に行きづらい子どもの居場所づくり
3.あそびのてらこや事業
・異学年での遊び・創作活動でコミュニケーション力向上、人間関係を学ぶ

2)子どもの生きる力を向上させる事業
1.清掃・探検クラブ
・公園や町の清掃をしながら探検マップ作り
2.子ども防災ジュニア・リーダーの活動
・災害時を避難所宿泊で体験し多くの「気づき」を学び、「命を守る力」としていく

3)地域で子育て支えたい「子育て支援事業」
1.地域子育て支援事業
・乳幼児親子の居場所づくり:大阪市内3ケ所、八尾市1ケ所
①ハート広場 ②フレンド広場 ③龍華おやこひろば ④平野おやこ広場
2.大阪市コミュニティビジネスプロポーザル事業「ひだまりサロン」inフレンド広場
3.キッズクラブ
4.乳幼児親子わくわくどきどきフェスタ
5.大切なこころとからだの授業
6.東住吉区委託事業(親の子育て力を育てる事業)

4)障がいのある子どもの放課後の居場所づくり(東住吉区西今川) 
1.児童デイサービス・ハートフレンド

5)高齢者支援事業
1.おとなのてらこや事業
・高齢者の居場所づくり:桑津地区、阿倍野地区、加美北地区
・大人が生き生きと暮らす講座:計算や漢字問題等(認知症予防・介護予防事業)

事業の成果

殆どの事業が頑張った成果として継続した事業になっています。どう頑張っているかといいますと、地域の中で活動拠点を作る事業をバックアップして頂く“応援団”を作り、それを増やすことで、その事業が翌年、翌々年も継続できるようにしています。

それから、子どもの成長の見える成果としては、昔ハートフレンドの事業に小学校1年生で来ていた子が、今では高校3年生になっていて、子ども防災ジュニアリーダー活動の企画・運営といった管理業務をしてくれています。


また、ハートフレンドで活動を始めた頃、高校生だった子どもたちが結婚し出産して乳幼児広場に来て、その広場の利用者さんという立場から、今度はハートフレンドのスタッフになったという人が5人います。

このように、人と人のつながりが、この拠点があることによって、日々の生活の中でしんどいことや嫌なことがたくさんあっても、誰かとつながって話を聞いてもらったり、逆に聞いたりすることで、幸せ感みたいなものを感じたりできます。何かあれば戻ってこれる場所、集まれる場所があるということは、素晴らしいことだと思います。

今、中学生と高校生の子が、“てらこや”の先生役として教えにきていますが、それは彼らの“自分みがき”にもなりますが、同時にそのお兄さん、お姉さんに教えてもらっている小学1年生の子どもたちが元気をもらいます。また教える先生役の二人も逆に元気をもらい、先生役の二人と習っている小学生を見ている私たちも元気になります。

そういう“元気の渡しあい”が、人と人とがつながれる拠点があるハートフレンドの大きな成果だと思います。

事業の成果

今後の展開、夢

役員の私たちが、昔15人で“こんな場所があったらいいなあ・・・”と集まっていたように、今、このハートフレンドに集まってきている20代、30代の人たちが、ここで自分たちから自発的に集まって、形はどう変えてもらってもいいので、手作りの拠点づくり続けていってもらえるように、私たちからうまくバトンを渡す。これが、この先10年以内に実現したい最大の夢です。

そのために私たちは、若い世代の人たちに“私たちもあんなふうにやってみたい!”と思ってもらえるような、良い事業を進めておく必要があります。

NPO法人ハートフレンドのホームページ

インタビュー
ソシオ・プロダクツ 菊地健