コラム

コラム

ひきこもりやニートといわれる若者たちへの支援~NPO法人淡路プラッツ

「居場所支援=生活支援」を中心に据えて、親御さんへの支援も行いながら、ひきこもりやニートといわれる若者たちへの支援を大阪で展開するNPO法人淡路プラッツ・代表の石田貴裕さんとスタッフの藤村泰王さんにお話を伺いました。

事業を立ち上げられたきっかけ、フォーカスした社会課題

25年前の1992年に、不登校、ひきこもり、ニートの家族と若者の支援をするために立ち上げた団体です。もともとは、登校拒否の子どもを持つ親御さんたちが「親の会」と共に作った団体ですので、現在も親御さんに当法人の理事になっていただき一緒に運営しています。

設立当初は「親の会」があって、そこに付随する形で不登校の子どもたちが集まってきた流れで「居場所」を作りました。居場所を作ると親以外にも関わるスタッフが必要になったため、その後、スタッフが入り一緒に活動することとなり現在の形に至っています。

当時はひきこもりという言葉はなかったのですが、孤立していたり、社会に参加できない子どもたちの為に、親御さんが「集まれる居場所があったらいいね」という流れで作られました。
事業を立ち上げられたきっかけ、フォーカスした社会課題

団体のミッション、プラッツの事業内容・規模等

ミッションは、家族と若者の自立支援と啓発です。加えて、希望ある未来と家族を一緒に創っていくということです。

具体的には、親御さんとの関わりを中心とした「アウトリーチ(出会いのための)支援」を入口として、面談・講座・親の会・訪問等のメニューから、若者が「居場所支援」へ繋がることを目指してご家族と一緒に取り組んでいきます。

「居場所支援(=生活支援)」では“レクリエーション・コミュニケーション・日常生活体験”を通して若者が様々な経験や人との関わりを積み重ね、若者のペースに応じた伴走型のサポートで、それぞれの社会参加や自立に取り組んでいきます。

もちろん、この「居場所支援」はあくまで通過点であり、その先の「自立・就労(出口支援)」を念頭に置いての関わりですが、ひきこもった経験を持ったり自信を失った若者たちにとっては、まず“社会を生き抜くための土台の力”を獲得するために一歩一歩と着実に進めていくことが何よりも大切だと考えています。

目まぐるしく変化する時代や社会情勢の中で、若者の生き方や働き方、及び家族のあり方や役割もまた多種多様化しています。来たるべき未来に若者・家族が安心できる“豊かな生き方”を一緒に創り出していくこともまた当法人が目指す大切な支援の形です。

また、若者支援といいつつ、一方で親御さんとの関わりを非常に重視しているのも特徴だと思います。若者が次の段階に進めば、進んだことによる不安が出てくることもあるので、親御さんには出来るだけ最後まで面談に来てもらうようにしています。

本人もしんどいですが、それを支える親御さんもまた色々なしんどさを抱える場面もありますので、当法人として親御さんも楽になりながら、一緒に関わることをとても大事にしています。

活動拠点は、淡路プラッツの他に茨木プラッツ(1)(茨木市)と南河内プラッツ(河内長野市)があり、市の委託事業や生活困窮者自立支援事業も活用しながら子ども・若者の支援だけでなく生活困窮者への支援も行っております。もともと大阪府の委託事業でスタートしましたが、現在は、自主事業で運営しています。

3つの拠点とも対象年齢は、15歳から40歳代くらいまでで、親御さんからの相談には年齢関係なくお受けしています。

面談は、繰り返し来られる方もいるので、年間にするとのべ300件くらいあり、面談・居場所へ来る人・講座への参加者等すべてを含めると、淡路プラッツとして関わっている人は年間でのべ2000人くらいです。

その他に、大阪市から不登校の子どもの不登校児童通所事業を受託し、大阪市内13ケ所で実施されているうちの、旭区と東淀川区の2ケ所を受け持っています。

現在、生活困窮者支援の事業が全国的にも増えてきています。当法人も東淀川区の中学生勉強会事業を行っており大学生にサポーターをお願いし、塾ではない居場所と勉強を教える事業を行っています。

 

1 茨木プラッツは平成28年度末で閉所致しました。

団体のミッション、プラッツの事業内容・規模等

事業の成果

具体的には年間のべ人数でいうと淡路で2000人、茨木で1400人、南河内で600人ぐらいの沢山のご家族、若者と関わっています。そのうち、自立・就労に至る若者は年間10人に満たないことも多いですが、日々それぞれの成長や変化を遂げています。

「目が合うようになった、会話が増えた、電車に乗れるようになった」など数字には表れにくいですがその一歩一歩が大きな喜びであり、成果でもあります。

バイトなどをしながら居場所等に通っている方もいらっしゃいます。働いたらすぐにプラッツとの関係が終わるのではなく、本人さんやご家族と相談しながら就職や社会参加した後もフォローのような形で面談等をしばらく継続し、プラッツの支援が無くてもやっていけるようになったときが支援の終了になるように感じます。

現状の課題と考えておられるその対応策

ひきこもりから脱出して元気になって、次の段階に進めるようになるけれども、次の受け入れ先、就労という出口の部分がずっと課題だと思っています。スタッフが、仕事を探してあげる訳にはいかないので、自分たちで仕事を探すのを手伝います。仕事が見つかって働きだしても、しんどくて長続きしないというケースも数多くありますので先ほどもあったようにフォローという形で面談を続けていく場合もあります。

また、先ほどもあった、生活困窮者への対応があげられます。プラッツを利用する場合、当法人が自主事業で行っているためどうしても利用料が必要になります。生活に困窮している場合、利用料を払えない方もたくさんおられますし、その方たちへの支援というのが行き届いていないという現状があるため、生活困窮者自立支援事業を当法人が受託し、支援を行っています。

また、別の問題で高齢引きこもりということがあります。40~50歳になって、社会経験がなくて社会に出てくる人たちが、ここ10年くらいで増えてくるであろうと予測されます。その方がたに対する支援などは、今プラッツで行っている居場所支援だけでは対応できないだろうと思っています。これは、社会全体の課題であると考えています。

現状の課題と考えておられるその対応策

今後の展開計画や将来の夢

貧困問題であったり、高齢化社会の問題など出てきている中で、関わる人は多くなってきていると思います。それをすべてプラッツがカバーできればいいなと思っていますが、もちろんそういう訳にもいきません。

1人でも多くの人に関われて、少しでも困っている人たちに「プラッツに行ったら、相談できる人がいる」とか「何か知恵を貸してくれたり、一緒に考えてくれたりするよ」という声を発信できたらと思います。1人で悩まずに、助けてもらえる人がいるということを知ってもらえたらと思います。


以前は、ひきこもりの若者をあまり積極的に外(社会)には出さず、傷つかないように周囲から守っていた時期もありましたが、今は、可能な限りいろんな大人や社会にも関わってもらえるように間口を広げていきたいと思っています。できるだけ地域も巻き込んで「ひきこもりは病気ではない、怖くない」ということを広げていく環境を作っていきたいと思っています。


もちろん無理やりではなく一歩ずつですが、ある程度時間や経験を経て外(社会)に心が開かれてくると、若者たちの自尊心や肯定感というものも広がっていきます。その時に「大人ってそんなに怖くない」とか「世の中、そんなに捨てたもんではないな」と思ってもらえる「環境」を作っていくこともまた大事な役割だと考えています。

NPO法人淡路プラッツのホームページ


インタビュー

ソシオ・プロダクツ 菊地健