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途上国の現状を通して、フェアトレードを考える

途上国の現状を通して、フェアトレードを考える

フェアトレードの定義

フェアトレードとは、フェアトレード関連の団体が定めた定義から引用すると、「対話、透明性、敬意を基盤とし、より公平な条件下で国際貿易を行うことを目指す貿易パートナーシップであるということになります。特に“南”の弱い立場にある生産者や労働者に対し、より良い貿易条件を提供し、かつ彼らの権利を守ることにより、フェアトレードは持続可能な発展に貢献するもの。フェアトレード団体は(消費者に支持されることによって)、生産者の支援、啓発活動、および従来の国際貿易のルールと慣行を変える運動に積極的に取り組む事を約束するもの。」となっています。

バングラディッシュ・ラナプラザビル崩壊事故

さて、このことを頭に置きながら、今の世の中、特に消費生活の事を考えるとアンフェアなことばかりだと思います。お金を持っている人が強い、買う立場の人や消費者が強い、先進国が強い。その強い人たちに「この値段でしか買わない」と言われたら、それに従わざるを得ない状況になるということがずっと続いています。


2013年に1200人以上の死者をだしたバングラディッシュの商業ビル・ラナプラザの崩落事故がありました。このビルには縫製工場もあり、グローバル展開する欧米や日本の大手衣料品業者が、同国の劣悪な労働環境や安価な労働力に依存して利益を上げている状況が浮き彫りとなり、論議を呼びました。

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ラナプラザの縫製工場で働いていた人たちは皆、田舎からの出稼ぎで長時間労働の上、職場環境も缶詰状態の中で仕事をしていました。一説によると仕事を1日休むと3日分の給料がカットされるとか、逃げ出さないように窓に鉄格子を嵌めていたとか、そんな中でビルの違法建築がありビルが倒壊して多くの人が亡くなりました。

結局、悪いのはその縫製工場の工場長や、そのビル会社、違法建築を取り締まれなかった国であったという話になりますが、元々その会社は何故違法建築のビルを建てなければならなかったのか、あるいはそこで働く人たちは前日にビルに亀裂が入っていて危険と言われていたにもかかわらず、何故出勤して働いていたのでしょうか。

貧困問題とアンフェアな価格競争

そこには、やはり「貧困」の問題があり、解雇されたら他に働く場所がないから、そこで働かざるを得ない、あるいはその工場長や縫製を請け負っている会社が欧米や日本の企業から「もっと安いものを作れ」と言われ、それに対応せざるを得ない状況でした。

そうすると、違法建築であろうと劣悪な職場環境であろうと、厳しい規則を作って働かさざるを得ないことになります。もっと源流をたどれば、消費者が安いモノを要望してくる市場原理に基づいてくることになります。

フェアトレードは途上国の困っている人を助けてあげるというイメージが一方であり、それも正解ですが、もう一方では私たちも日本の消費者としてそのアンフェアな価格競争に加担していることはゼロではないと思います。

コットン農家やカカオ農家の生産も貿易というサイクルのしくみに入っていますが、このサイクルの中でも最終的には最初にコットンを作っている人たちが搾取されています。例えば、自分たちがコットンを1年かけて作ってかかったコストよりも、取引価格が暴落したといって安い価格でしか買ってもらえないということがおきていて、それはものすごくアンフェアな状況です。

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経済発展で取り残されるローカルエリア

フェアトレードと、途上国の少数民族やローカルエリアの人たちが取り残されていく問題についても考えてみたいと思います。よくカンボジアを訪問しますが、このところ経済成長が著しく、行く度に新しいビルが出来ています。経済発展自体は素晴らしいことですが、一方で発展するほどインフレ経済になっていっています。インフレで10%物価が上がった場合、都会に住んでいる人は賃金もそれなりに上がっており、それほど生活に支障をきたしません。
 
しかし、田舎で自給自足に近い生活をしている人たちにすれば、いきなりガソリン代が10%アップしたら生活が困窮してしまい、その格差はどんどん開いていきます。同じ地域でストールの手織りで生計をたてていた人たちは、経済発展で値段が安く作れる工場ができてしまえば、手織り品は売れなくなってしまいます。

何故、フェアトレードか

こういうことが繰り返されると、貧富の差が益々大きくなりローカルエリアの人たちは取り残されていくという問題が生じてきます。

ですから、そのような手仕事で生計をたてている人たちなど、途上国で頑張って生活をしている人たちを意識して、彼らに働いてもらう機会をもっと提供していかなくてはならないと思います。

フェアトレードとは南の国の弱い立場の人たちにより良い条件で仕事を提供することですが、フェアトレードの概念とかフェアトレードとは何だろうという話と同時に、その後ろに隠れているものを考えることや、何故フェアトレードをしなくてはならないかを考えることが重要なポイントになってきます。

記事提供:高津玉枝氏

Love&sense  株式会社福市 代表取締役

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