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ソーシャルビジネス企業ヒューマンヘリテージの「みんなのホテル」プロジェクト

ソーシャルビジネス企業ヒューマンヘリテージの「みんなのホテル」プロジェクト

「みんなのホテル」プロジェクトは、私の趣味の旅行で得た経験、奈良の障害者福祉施設たんぽぽの家で働いてきた経験、そしてヒューマンヘリテージという会社を通じての私の集大成の仕事として2014年にキックオフしました。これは2019年4月の完成を目指して障害者も高齢者も誰もが利用でき、障害者も雇用するホテルを奈良に作るというものです。

なぜ奈良にホテルをつくるのか

~奈良のホテル事情~

大きな理由の1つが、奈良にバリアフリーのホテルが数件しかないということです。たんぽぽの家で仕事をしてきて、全国から障害者を受け入れることも数多くしてきましたが、そのことを痛感しました。

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また  ホテルそのものが少ないという現実があります。平成26年度の奈良県内における年間延べ宿泊者数は227万人で、これは47都道府県中でなんと最下位。ホテルが少ない理由ですが、都市計画法や古都保存法によりホテルの建設が難しいことなどがあります。そして宿泊者数が少ないのは、交通網が発達して、京都や大阪からの日帰り旅行が容易になったことが挙げられます。


~地域住民、旅行者の交流の場を~
私たちは通常、地元のホテルを利用することは殆どありません。遠方から友人が来たり、何かのお祝いの席などでレストランを利用することがあっても、やはり地元のホテルは敷居の高い場所になっており、これはもったいないことだと思います。
もっとホテルを地域に開放し、コミュニティ拠点として機能をもたせることでワクワクするような場所にしていくことは、コミュニティが希薄になりつつある今日においても、とても大切ではないかと考えます。


 私は国内外を数多く旅行してきましたが、心に残っているのは、旅先で出会った現地の人や、私が訪れたことのない土地から来られた旅行者との交わりでした。「みんなのホテル」では「出会うこと」「交流すること」「参加すること」に重点をおいてたくさんの物語を生み出していければと思っています。

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~障害のある人の雇用、共生社会の創出~
そしてもう1つ大きな理由が、ソーシャルインクルージョンの実現です。国の法律や政策も後押しして障害者の生活は少しずつよくなってきたような気はします。ただ依然として、障害のある人は可哀相な人であったり、何もできない人であったりというイメージを持たれている方も少なくありません。障害のある人たちの「障害」が特別視されることなく、当たり前に暮らしたり、働いたりすることができる社会を早く実現したいものです。

「みんなのホテル」では、そんな共生社会の実現に向けて、障害者の雇用を行います。フロントでの接客業務、客室内の清掃、シーツ交換、調理補助などさまざまな仕事に取り組める環境をつくる予定です。

みんなのホテルのコンセプト

①障害のある人や高齢者、子ども連れ、外国人など誰もが安全、安心そして快適に過ごすことができ、また奈良の魅力をふんだんに感じられるホテル。

・キーワード:ユニバーサルデザイン・インクルーシブデザイン・アトラクティブネス

②地域の人たちがふらっと足を運び、会食したり、団欒したりできるほか、奈良を訪れる旅行者たちと交流することで、たくさんの物語が生まれるホテル。

・キーワード:コミュニティ拠点・参加型・民際交流

③障害のある人が、接客やベッドメイキングなど、個々の関心やスキルに合わせた仕事に誇りをもって取り組むことができ、共生社会への一助となるホテル。

・キーワード:ソーシャルインクルージョン・障害者雇用・自己実現

具体的なホテルの設計、設備

▽300坪で景観のいい立地に建設

▽鉄筋コンクリートと地産の木材を融合した外観
▽全館ユニバーサルデザイン
▽客室は和洋室をメインとし、ツイン、シングルも配置
▽コネクティングドアでユーザビリティをあげる
▽男女別のドミトリー(2段ベット×4台)でリーズナブルに
▽1Fにコミュニティレストラン、ギャラリー、スタジオ、ライブラリー
▽旅行者と地域の人が交流できるスペース、仕掛け

「みんなのホテル」の商標登録とキックオフ

具体的なプロジェクト活動のキックオフは、2014年10月ですが、それより以前、2013年11月に「みんなのホテル」という商標を出願し、2014年8月に無事、商標が登録されました。「みんなのホテル」という商標については、弊社が独占使用するのではなく、多くの方に使用して頂きたいと思っています。

そして、2014年10月に公開形式のキックオフミーデイングを開催し、それ以降、さまざまなプロジェクトが始動していきました。

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「みんなのホテル100人プレゼン行脚」がスタート

このプロジェクトは文字通り「みんなのホテル」完成までに、100人の方にプレゼンをしてまわるというものです。狙いは2つあって、1つは「みんなのホテル」プロジェクトを知っていただき、それぞれの視点でアドバイスを頂くこと。2つ目は、弊社のスタッフにも同行してもらい組織間の交流を図ることです。もちろん研修の意味合いももたせています。

2014年10月の第1回は一番お世話になった財団法人たんぽぽの家理事長の播磨靖夫さんでした。たんぽぽの家で開催させて頂いたのでスタッフの方もたくさん参加して頂きました。これまでに全26回、32人のさまざまな分野の方に、さまざまな場所でプレゼンをさせて頂いています。

「みんなのホテル公開プレゼンテーション」の開催

100人プレゼン行脚と平行して取り組んでいるのが年2回開催している公開プレゼンテーションです。100人プレゼン行脚では、私が押しかけてプレゼンさせて頂くのですが、公開プレゼンテーションでは、広くたくさんの方に知って頂こうと、毎回テーマを決めて開催しています。

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2015年4月に第1回を「こんなホテルがあったらいいな」というテーマで開催しました。毎回、冒頭に私から「みんなのホテル」のプレゼンテーションをして、後半は趣向を凝らして開催しています。第2回は2015年10月に「みんなのホテルで“仕事”をつくる」というテーマで開催し「ホテルの“仕事”を障害のある人の“仕事”とするためには」というタイトルでパネルディスカッションを実施しました。第3回は2016年4月に「ユニバーサルツーリズム最善線!」というテーマで、はじめて東京で開催しました。

「みんなのホテルmeets」の実施

100プレゼン行脚、公開プレゼンテーションの開催をしていく中で、もっとざっくばらんに話し合う場が必要だと考え2015年12月に「みんなのホテルmeets」という取組をスタートさせました。「みんなのホテル倶楽部ってどんな倶楽部?」「ホテルにあって嬉しいモト・モノ・ヒト」などテーマを決めてワークショップを行ったり、プロジェクトの進捗状況を確認しあったりしています。

「みんなのホテル」が「みんなの夢」に

プロジェクトをスタートさせてから、まもなく2年。この間さまざまな出会いや奇跡を頂きました。少しずつ協力してくれる方や関心をお寄せ頂く方も増えてきています。私たちの大きな夢を、みなさんの夢にしていただいたとき、きっと奈良に必要とされる、また時代に必要とされる「みんなのホテル」が完成するのだと思います。「みんなのホテル」が「みんなの夢」となるよう、1歩ずつプロジェクトを進めていきたいと思います。

記事提供:山本善徳氏

ヒューマンヘリテージ株式会社 代表取締役

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