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アントレプレナーシップを創造するNPO法人JAE

アントレプレナーシップを創造するNPO法人JAE

「生きる」「働く」「学ぶ」がつながる社会を目指して、大阪に拠点をおき活動するNPO法人JAEの代表理事の坂野充さんにお話を伺いました。

事業を立ち上げられたきっかけ、成り立ち、目的について

創業者の山中昌幸が、25年前、学生時代に中国に留学していた時に中国や諸外国からの留学生と出会い、その学生たちが非常に将来に対して夢や目標を持って実現するために学びに来ていることを体感しました。

一方で、日本の大学生は、いい大学へいくための受験をし、大学へ入ってみたら何をしたいかというより、大学へ入ることが目的になっており夢や目標を語る学生は殆ど見受けられませんでした。“この大きな違いには、何があるのだろう”という問題意識を持ったのが、2001年にJAEを立ち上げるきっかけとなりました。

この日本の若者の実情を解消するために、どういう方法がいいか考え、学校の中でやっていくのか、もしくは民間企業として何か事業を立ち上げるか、色々と方法を考えたのですが、結果的にNPOというかたちで、学校や企業では実施できないプログラム、事業をやっていこうというのが成り立ちです。

 

若い世代の将来に対する希望、挑戦する姿勢、それを実現していく力などを育てられる機会を創ろうというのが当初の目的です。

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団体のミッション、具体的な事業内容

JAEのミッションは、“アントレプレナーシップを持った若者を増やしていくこと”です。アントレプレナーシップとは、「自らの問題解決や新たな価値の創造に挑戦する心」を指します。

これからの時代、就職して経験を積み、技術を身に付けるだけでは、難しい状況になっていきます。自ら様々な問題を解決していったり、新たな価値を創っていく事を大事にしてほしいと考えています。

具体的な事業としては、アントレプレナーシップを育むためのプログラムを提供するというのが中心になっており、次の2つがあります。

1つは、小・中・高校生向けの「ドリカムスクール」というプログラム。もう1つは大学生向けに「アントレターン」というプログラムを行っています。

ドリカムスクールは企業と協働して企業が抱える課題を提示してもらい、それを子どもたちがチームを組んで解決に向けて取り組んでもらうというプログラムになっています。
アントレターンは、インターンシップという形で大学生が企業の中に入って、その企業の持っている課題を解決するプロジェクトに取り組んでいくものです。

この2つのプログラムは13年間実施しており、協働している企業さんは累計約400社になります。また学校での展開が約100校になります。大学生は約800名がインターンシップに取り組んできました。

一方で、プログラムを開発して、色んな学校に導入をしていこうとしても、学校側でこういったプログラムの必要性を感じてもらえない、子どもたちが社会に出た時に必要なことをイメージしきれない、またどう実施すればいいのか方法がわからない、という状況がありました。

そこで、教職員向けの研修プログラムを2011年より始めました。

具体的な研修テーマは「キャリア教育とは」「めざす子ども像づくり」「キャリア全体指導計画づくり」等で、学校内で目指す人物像を明確にしたり、実現するためのカリキュラムを精査していくようなことも一緒に取り組んでいます。

このようにプログラムを活用していける土壌を作っていくことも合わせて行っています。

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苦労や嬉しかったことなど、特筆すべきエピソード

5年ほど前から関わっている大阪のある地域では、教職員の方向けの研修をずっとやってきました。経済的に厳しい家庭を多く、子どもを取り巻く環境がとても厳しい地域です。

子どもたちと向き合う先生方も、より良い環境づくりをしようと非常にご苦労されています。ただ、その地域では子どもたちが将来への希望がなかなか持てない。その状況を解消するために、いきなりドリカムスクールのようなプログラムなどを持っていっても、なかなか機能しないだろうと考え、先生方と研修を通じて継続的にコミュニケーションを重ねていました。

3年ほど対話を重ね、学校内、学校間の土台ができたところで、具体的に将来に対して希望を持たせていくための手段として、ドリカムスクールを活用したいという流れになっていきました。

地元企業と連携をしたのですが、経営者を含め、社員さんに地元出身の方が居られました。そして企業の社員さんにとっては、当時の担任だった方が今では校長先生になっておられたり、また他の先生は教育委員会に居られたりして、懐かしい再会の場となりました。

 
先生方からすると、自分たちが教えていた子どもが、どんなふうに成長しているのかを見る機会にもなりました。子どもの頃は色々とできないこともあったりしたとか、やんちゃだったりした子が、今では企業で意欲的に仕事に取り組んでおり、色々な責任も背負って仕事をしている姿が見られたという事でした。

 
一方で子どもたちにとっても、自分たちの住んでいる地域にこういう大人がいるとか、こういう会社があるという事を知ることができたということが大きかった。地元のお祭りなどで再会し、学校の中だけでなく学校外でも社員の方と繋がっていく機会ができたという事もありました。

ここまでに至るには、かなりの時間がかかりましたし、難しい部分もすごくありましたが、私たちとしては「社会ってこうだよ」「企業ってこうだよ」と教えるだけでなく、このような出会いや、地元の大人と具体的に関わることを通じて、将来に対する希望とか、目標に向かってやっていこうという気持ちがその体験から自然と生まれる機会になればという思いでやってきました。

学校と地域の間に壁はあります。しかし、関わる機会をつくることにより、同じ思いで地域の子どもたちを支えていける。今まで色々とやってきた中で、このように“できたらいいな”とずっと思っていたことが、今まさに実現されつつあり、大変嬉しく思っています。
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今後の展開計画や将来の夢

私たちの取組みは、学校を中心として企業や地域が関係性をつくりなおし、一体となって、子どもたちと関わる機会をつくり、かれらの未来を創っていくことです。

一番の持ち味としては、“企業と繋げていく”ということですが、企業と繋げていく前に、学校内の連携や学校と地域の連携、また場合によっては小学校・中学校・高校間の連携というものをつくりながら、より効果的な関係性をデザインし、実際にプログラムが提供できるようにしていきたいというのが今の方向性です。

これまで、色々な地域で活動を展開してきましたが、当面は3〜4地域で、この動きを作っていこうと考えています。他の地域でも参考にされたり、真似されるようなプログラムやツールなどを開発していこうと思っています。

子どもは、自分の親や先生など限られた関係性の中だけで育っていることが多い。多様な大人と関わりながら、自分たちの住んでいる地域や社会全体が今後どうなっていくのかに触れたり、将来を見据えて自分たちはどうしていきたいのかを考えたり、取り組んだりでき、またそれが日常的に行われるような学校現場や社会にしていきたいと思います。

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ソシオ・プロダクツ 菊地健

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