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コミュニティビジネス事例~NPO法人摂津まるごとプロジェクト

コミュニティビジネス事例~NPO法人摂津まるごとプロジェクト

「摂津市をもっとわくわくするまちに」「地域にこんなのあったらいいのにな」そんな地域住民の想いをカタチにするべく大阪で活動を展開するNPO法人摂津まるごとプロジェクト理事長の新田昌恵(にったよしえ)さんにお話を伺いました。

事業を立上げられたきっかけ、経緯、フォーカスした社会課題

私が摂津市に引っ越してきたのが、2010年12月でした。その時は子どもが5歳と4歳で、子どもを連れて遊びに行くようなところが、摂津市にはあまりありませんでした。時々地域の子育て支援センターなどに遊びに行っていたのですが、年度の途中に引っ越してきたということもあり、ママ友というお友達ができなかったり、お友達になっても子どもの話ばかりだったり、子ども中心の遊びになってしまうので、もの足りなさをずっと感じていました。

「私」という存在はどこへ行ってしまったのだろうとずっと思っていました。その時に、ママが中心となって楽しめるコミュニティがあればいいなと思って、まずインターネットで探したのですが見つからず、無いのだったら作ろうと思って立ち上げたのが「マミー・クリスタル」というママサークルです。引っ越してきてから約半年後の2011年5月でした。

ちょうどその頃、摂津市に阪急摂津市駅ができ、駅前にマンションが建って、コミュニティプラザという地域の人が使える公共の施設ができた時期でした。こんなにいい環境が整ってきたのに、まだ人と人が繋がっていないし、コミュニティプラザも利用者が少ない状態でした。

ここをなんとかうまく使えば、きっと人が集まる場所になるだろうと思って、まずmixiというSNSで摂津のママのコミュニティを立ち上げたら1週間で50人くらいの人達が集まってきました。

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皆さん、何かをしたいという気持ちがあったようなので、ひとまず私の自宅で集まりましょうということで、5~6人のママが集まりました。その人たちに、どのような事がしたいか聞いたところ、人に何かを教えたい、先生になりたいというママや、逆に子どもたちが居ても習い事に行きたいとか、自分磨きをしたいというママたちの両方がいることが分かってきました。

そこで、先生もママ、生徒もママで、みんな子連れで参加できる習い事サークルというものがあってもいいのではないかと思いました。専業主婦でも参加しやすいようにワンコイン500円くらいから参加できる気軽な習い事サークルにして、毎回色々な習い事を、色々な人が先生役になりながら、みんなで集まる、仲良くなるということを一番の目的にしたママサークルが出来上がりました。

ママサークルの会員数もどんどん増え活動が活発化していたある時、ママたちと「こんなイベントが摂津市にあったらいいね」という話で盛り上がりました。手作り雑貨を作るのが得意なママが摂津市には多いので、その活動を多くの方に知ってもらうイベントを開催したいという内容でした。

近隣市では、吹田市がロハスフェスタ、茨木市は茨木フェスティバル、高槻市は高槻ジャズストリートなどを開催していました。摂津市には、市のお祭りしかありませんでしたが、コミュニティプラザもできたし何かできるのではないかと思っていました。そこで、私たちの手で作ろう!とスタートしたのが、2013年の「摂津まるごとマーケット」です。

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「まるごとマーケット」を数人の子育てママでスタートしていき、運営もすべてママたちの手でやりました。ただ、それをやっていく中で徐々にボランティアに頼った運営の難しさを感じ始めていました。

これは単に楽しもうではなく、活動を継続させるということを考えなければならないと思った時に「NPO法人」設立を意識し始めました。特に「コミュニティビジネス」という、ボランティアでもなく、完全な営利目的でもない、その中間の位置づけで地域の課題解決に取り組んでいきたいと考えました。

そこで、「NPO法人 摂津まるごとプロジェクト」を2016年8月に設立し、コミュニティビジネスで地域を支える人が育つ、市民大学「摂津まるごと大学」で人材育成プログラム等をスタートさせました。

団体のミッション、具体的な事業内容

団体のミッションは、一言でいうと「コミュニティビジネスを起こしやすい街、プラットフォーム(土壌)を作る」です。

植物で例えると、土があって、種があって、それから芽を出して、花が咲く。その中での私たちが担う役割は、土を耕すことです。今はまだ種の人たちが摂津という場所を使い、花を咲かせるために芽を出しやすい環境を作るということ。今までも、種はあったのだけれども、芽が出すのが難しかった。土がアスファルトで覆われていたのかもしれません。それを取り除いて、土を耕す活動をする訳です。そのように、人が育つ環境を作るのがミッションです。

事業は大きく4つあります。1つめは、種が育つためにはまず、学ぶ場所、先輩たちの話が聞ける場所が必要と考え「摂津まるごと大学」(市民大学)を開催・運営しています。そこは、地域の課題を解決する人が育つ場所です。

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2つめに、「摂津まるごとマーケット」。地域の方の活躍・発表の場として、また地域の魅力を再発見する機会として、年1回、今後も続けていくように企画を検討しています。

3つめに、今年度から力を入れていく情報発信事業です。これまでは冊子で年1回「摂津まるごとナビ」を発行していましたが、今年度からは「摂津まるごとナビWEB」という、インターネットを媒体とした地域のポータルサイトを立ち上げます。地域内外の人たちに摂津市をもっと知ってもらうための情報発信力を強化してゆこうというものです。

4つめの最後の事業は、「コミュニティの拠点をつくる」ことです。地域の色んな人たちが、積極的にコミュニケーションのとれる場所を作ることで、新しいコミュニティの誕生と活性化を促します。すでに、摂津市の委託事業として、65歳以上の地域の高齢者の方々が集会所に集まり、健康体操や認知症予防ゲームをしたり、会話を楽しんだりする「つどいの場事業」を開催しています。

現状の課題と考えておられるその対応策

まずは人材不足ですね。ブレーン(脳)役はいますが、実働部隊が少ないです。

もう1つは資金の調達です。事業収入としては、単発的に行うイベントで大半を賄っているので安定性に欠けます。安定的な資金調達のために、これから始めるポータルサイトを活用し、広告掲載による収入などを増やして行こうと考えています。

苦労されたことや嬉しかったこと

一番大変だったのが、まるごとマーケットの3回目でした。1回目、2回目は、みんな楽しんでできたので、私自身も苦労を感じていなかったのですが、3回以上継続していこうとすると、今まで隠れていた問題が表面化しました。今まで以上に参加者からの期待感も高まっているので、きっちりやって行こうと身構えてしまった結果、メンバーにうまく仕事を割り振れず、1人で抱えすぎてしまったのです。
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5000人の規模のイベントになってきているのに、殆どの事務作業を私1人が抱えてしまったのでイベントが終了した時は、体調を崩してこのまま死ぬのではないか、もうやめてしまおうかと考えました。

ですが、終わってからイベント参加者のアンケートを見て、地域の人になくてはならないイベントに成長したことを実感したんです。これはもはや私の使命、天命だと思いました。そのあたりから永続的な組織、NPO法人を視野に入れだしました。

一番苦労した時でしたが、ある意味、覚悟が決まったという感じでしたね。

今後の展開計画や将来の夢

私は自分の夢を諦めて子育てに進んだので、「子育てはしんどいな」という思いがいつもどこかにありました。そんな中でも色々な活動をはじめることで、色々な人と繋がって、色々な情報を得て、自分自身で学ぶことで人生が大きくかわりました。子育て中のママでも誰かの役に立つ役割は絶対にあるんだということに気づいたんです。

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「ママ」と「地域」には強い結びつきがあります。ママの役割=子育てのように考えられがちですが、その地域でそこに住むママたちにしかできないことってたくさんあるんですよね。

 

まずは摂津市でママたちが地域社会をこれだけ変えたという実績を作って、その後は関西にそして日本へ、さらに夢は世界に「ママたちって凄い力をもっているよ」ということを伝えていけたらいいなと思っています。

NPO法人摂津まるごとプロジェクトのホームページ

インタビュー

ソシオ・プロダクツ 菊地健

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