コラム

コラム

持続可能な社会を目指す~NPO法人AMネット

関西を拠点に、行きすぎたグローバル化の影の部分に目を向け、人と地域・ 自然とのバランスのとれた、豊かで持続可能な社会を目指し 政策提言などを行っているNPO法人AMネット事務局長の武田かおりさんにお話を伺いました。

事業を立ち上げられたきっかけ、フォーカスした社会課題

1994年に大阪で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)で、様々なテーマで活動している市民団体が集まりました。途上国からも南北格差をこれ以上拡げてはいけない、経済のグローバル化が拡がれば拡がるほど格差がどんどん拡がる、ということでたくさん集まってきました。


AMネットは、そういう人たちを受け入れ、日本各地のNGOの連絡組織として始まったネットワークを継続しようと始まった団体です。APECなどの進める経済のグローバル化を今後も考えていこうと、1996年にAMネットを設立しました。

AMネットの語源はAPEC Monitor NGO Network です。

 

団体の目指すもの、具体的な事業内容

目指しているところは、持続可能な社会を創るということで、その為の社会や経済のしくみというものを考えて行こうということです。

より良い社会になってないのは、経済のグローバル化が進みすぎているからではないかという問題提起を、水や食べ物を切り口に活動しています。

具体的にはTPP(環太平洋連携協定)であったり、TPP以降に同じような貿易協定や経済連携協定ができようとしているので、それに対して情報公開や市民参加を政府に対して促しています。大阪市で水道民営化が進もうとした時も、世界ではすでに水道民営化での問題が起こっていること、逆に再公営化が進んでいるといったことを情報発信したりしています。

団体の目指すもの、具体的な事業内容

事業の成果

そもそも、日本中で水道民営化はされたことがなかった訳ですが、大阪市議会で提案されました。水道民営化というものが、海外ですでに多くの問題を引き起こしている事例があること、水道の再公営化はどんどん進んでいることなど、海外の事例を提示しました。2003年の世界水フォーラム以降、国際協力団体としてウォッチしてきたという実績もあります。

TPPでの活動してきたことで、TPPなどに入っているISDS(投資家対国家の紛争解決)条項と水道民営化の問題を結び付け、市民・市議会への陳情や市議に対して直接説明し、インプットすることができました。

実際に大阪市議会の議員さんも「そういった視点での切り口はなかなか無かった」と言って、じっくり話を聞いてもらえましたし、市議会では陳情を踏まえた質問で何度も話題になりました。それに加えてたくさんの市民の声もあがり、結果的に今回の大阪市の水道民営化プランは廃案にすることができました。


TPPについても、政府に対して情報公開や市民参加を2012年からずっと継続して要望を行っています。保秘契約があるTPPですが、さまざまな働きかけの結果として、その他の貿易協定とは比べものにならないほど情報公開がされました。市民主催で政府の交渉担当官を私たちも意見交換会を開催した他、政府もさまざまな形で数百回もの説明会が開催しました。

事業の成果

現状の課題

活動対象が経済や社会のしくみとなると、政府の資料を読んだり、それがどういう意味があるのか、できれば現場への影響を理解して、それを市民の言葉に置き換える必要がありますが、私含めそこまでできる人材はなかなかいません。


また、ずっと勉強をしていないといけないですし、実際、解釈が難解かつ膨大です。正確に分かりやすく、理解を拡げることはなかなか難しいと日々実感しています。また、具体的に問題解決に直結しにくいこともあり、簡単には支援や共感を得られにくい分野だと思っています。結果として残念ながら、小さい団体のまま、新しい人材が登場しにくく限られた人材で続けている状況が課題です。

嬉しかったことなど

私たちの活動はニッチな分野で、プレーヤーがすごく少ないこともあって、活動した分だけ役割が増しますが、そのお陰で「大御所」と言われるような尊敬する先輩や業界の著名な方にお会いできたり、仲良くさせていただける。一般市民の立場だったらこんなことはあり得なかったと思います。

またTPPでは、情報公開も進み、数多くの説明会が行われたことも嬉しかったです。政府の内閣官房の方とも直接電話で交渉しましたが、それも過去に貿易交渉の舞台だったWTO(世界貿易機関)説明会で交渉官を呼び、開催してきた団体だったから政府も対応したのでしょう。一市民では、なかなかそんなことをする訳にはいきません。

TPPも最初は全く情報がありませんでした。海外NGOや専門家からの発信を、私たちが市民の言葉に置き換える作業をずっと繰り返してきた結果、一般市民の方も自分の言葉で発信を始めました。

水道民営化の問題も「再公営化が世界の潮流」と最初に言い出したのは私たちなのですが、普通の市民の方も自分の言葉で「民営化はだめ!」「再公営化が世界の潮流」と語りだすようになりました。

このように、私たちの活動が波及してどんどん拡がっているのは、喜びでもあり成果です。

嬉しかったことなど

今後の展開計画など

TPP以降もRCEP(東アジア地域包括的経済連携)や日EU・EPA(日本EU経済連携協定)など、TPPに似ている経済連携協定がどんどん始まっています。情報が矢継ぎ早にどんどん出されるのに対し、市民側が、バラバラにある情報にアクセスし、難解な文章の意味を読み解くことは物理的に不可能です。そのため、今は政府に対して、「TPPと同じような経済連携協定全てに対し、情報公開と市民参加、国会での慎重審議」を求めているところです。

 

これまで国際政治や貿易交渉、国政ばかりに目が向きがちでしたが、大阪市の水道民営化や都構想の住民投票などの問題以降、私たちの考えるオルタナティブ・先進事例は、基礎自治体から考えるほうがいいのではないか?と、大阪市政・地方自治についても目を向け、発信しています。

 

これまでの活動ではどうしてもTPP反対といった「反対」の論調が多かったのですが、私たちの本来の活動の目的は「持続可能な社会を作る」ことです。

市政はこうすればいいんじゃないの?とか、水道も公営のままだったら、今まで以上に、もっといいことができるよね、といった提案も始めています。「持続可能な社会を作るためにTPPはいらない」という認識は変わりませんが、反対だけでなく、こういった、具体的な未来志向の提案も同時に、両輪でしていければと思っています。

NPO法人AMネットのホームページ

インタビュー

ソシオ・プロダクツ 菊地健